

株式投資を始めたいと考えている方にとって、株価指標の知識は欠かせないものです。
PERやPBR、ROEなどの指標は、銘柄ごとの割安・割高や企業の収益性を客観的に比較するための重要な基準となります。
初心者の場合、まずはこれらの代表的な指標の意味と使い方を理解し、同業他社や市場平均と比較することから始めてみましょう。

また、株価チャートの見方や移動平均線、ローソク足といったテクニカル分析の基本も押さえておきたいところです。
株価指標とチャート分析を組み合わせることで、より納得感のある投資判断が可能となります。
証券会社のスクリーニング機能や無料ツールを活用すれば、初心者でも手軽に指標を調べることができます。
数字だけでなく、企業の業績やニュース、将来性なども総合的にチェックする姿勢が大切です。
このガイドでは、株式投資で役立つ主要な株価指標の一覧と、その活用法をわかりやすくまとめています。

ポイント
- 株価指標は株の割安さや収益性を判断するための基準となる
- 代表的な指標はPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)である
- これらの指標を使い、同業他社や市場平均と比較することが重要となる
- チャート分析やスクリーニング機能も活用し、総合的に銘柄を選定する
- 初心者は複数の指標を組み合わせて判断し、リスク分散を心がける
指標名 | 概要・意味 | 重要度 (★3つ評価) |
---|---|---|
PER (株価収益率) |
株価が1株あたり純利益の何倍かを示す指標。割安・割高の判断材料。15倍前後が目安だが、業種や企業ごとに基準値が異なる。 | ★★★ |
PBR (株価純資産倍率) |
株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標。1倍未満は割安の目安。業種ごとに基準値が異なる。 | ★★★ |
ROE (株主資本利益率) |
株主資本を使ってどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す。10%以上が優良企業とされる。 | ★★★ |
配当利回り | 1株あたり年間配当金を株価で割り、投資効率やインカムゲインの目安となる。3%以上で高配当株とされる。 | ★★☆ |
ROA | 企業が持つ資産をどれだけ効率的に利益へ変えているかを示す指標。一般的な基準は5%以上。 | ★★☆ |
EPS | 1株あたりの利益。企業の収益力や成長性を比較する基本指標。 | ★★☆ |
BPS | 1株あたり純資産。企業の財務安定性や解散価値を示す指標。 | ★★☆ |
PSR | 企業の時価総額を年間売上高で割った指標。新興企業や赤字企業の評価に有効。 | ★★☆ |
PCFR | 株価がキャッシュフローに対して何倍かを示す指標。利益より現金収支を重視する際に有効。 | ★★☆ |
株式益回り (益利回り) |
1株あたり利益÷株価×100。PERの逆数で、株価に対する利益水準を示す。 | ★★☆ |
時価総額 | 株価×発行済株式数で計算される企業の市場価値や規模を示す指標。 | ★★☆ |
株式投資で役立つ株価指標一覧
この章では株式投資で役立つ株価指標一覧について解説します。
PER(株価収益率)
PER(株価収益率)は、株価が企業の1株あたり純利益の何倍かを示すもので、割安・割高の判断材料となります。
一般的にはPER15倍前後が目安とされますが、業種や企業ごとに基準値は大きく異なります。
PERが高いと割高で、その企業の株価は利益に対して高く評価されている。
低いと株価は利益に対して割安と見なされます。
ポイント
- PERは株価が1株あたり純利益の何倍かを示す指標である
- 割安・割高の目安は一般的に15倍前後となる
- 業種や企業によってPERの基準値が大きく異なる
- PERだけでなく、PBRやROEなど他の指標も合わせて判断する必要がある
- 投資判断には業界平均や企業の成長性も総合的に確認することが重要である
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PBR(株価純資産倍率)
PBR(株価純資産倍率)は、株価が企業の純資産に対してどれくらいの水準にあるかを示す指標です。
この数値が1倍を下回ると、一般的には「割安」とされることが多いですが、必ずしも買いのチャンスとは限りません。
業種や企業ごとにPBRの目安は異なり、たとえば金融業界は低め、ITやサービス業は高めになる傾向があります。
ポイント
- PBRは株価と純資産の関係を示す指標である
- 1倍を基準に割安・割高を判断することが多い
- 業種や企業ごとにPBRの目安は異なる場合がある
- 他の指標(PER・ROE)と組み合わせて総合判断することが重要である
- PBRだけでなく財務内容や成長性も確認することが失敗しない投資のコツである
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ROE(株主資本利益率)
ROEは「Return on Equity」の略で、企業が株主から預かった自己資本を使い、どれだけ効率よく利益を生み出しているかを示します。
単なる利益の大きさではなく、株主の資金をどれだけ有効活用できているかを客観的に評価できるのが特徴です。
一般的には「10%以上」で優良企業、「15~20%」なら非常に高い水準とされることが多いです。
ポイント
- ROEは企業が株主資本を使ってどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標である
- ROEの計算式は「純利益÷自己資本×100」で、10%以上が優良企業の目安となる
- ROEが高い理由には利益率の向上やコスト削減、財務レバレッジの活用などがある
- ROEだけでなくROAやROICなど他の指標も組み合わせて総合的に分析することが重要である
- 一時的な要因や過度な負債によるROE上昇には注意し、経営の持続性や健全性も確認する必要がある
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配当利回り
配当利回りは、1株あたりの年間配当金を株価で割り、100をかけて計算します。
この数字が高いほど、投資した金額に対して多くの配当金を受け取れることを意味します。
特に近年は低金利が続き、銀行預金や債券の利息がほとんど期待できないため、配当利回り3%以上の高配当株が特に注目されています。
ただし、配当利回りだけで投資先を決めるのは危険です。
業績や配当性向、増配の有無などもあわせて確認することが重要となります。
ポイント
- 配当利回りは「配当金÷株価×100」で算出し、投資効率を示す指標である
- 配当利回り3%以上が高配当株の目安となり、安定収入を重視する投資家に人気である
- 配当利回りだけでなく、業績や配当性向、連続増配など他の指標も確認が必要である
- 高配当株には減配・株価下落リスクもあるため、分散投資や情報収集が重要となる
- 配当金には税金がかかるため、NISAなどの非課税制度や口座選択も活用することが有効である
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ROA
ROAは、企業が持つ資産をどれだけ効率的に利益へ変えているかについての指標です。
業種ごとに基準は違いますが、一般的には5%を超えていると優良とされています。
ROAの数値が高い企業は、資産を無駄なく活用していると評価されやすい傾向があります。
ポイント
- ROA(総資産利益率)は、企業が持つ資産をどれだけ効率的に利益へ変えているかを示す指標である
- 計算式は「純利益 ÷ 総資産 × 100」で、一般的な基準は5%以上が優良とされる
- 業界ごとに平均値や目安が異なり、同業他社との比較が重要となる
- ROAは投資判断や経営改善、資産運用の見直しなど幅広い場面で活用される
- 単独で判断せず、ROEなど他の指標と組み合わせて総合的に分析することが大切である
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EPS
EPSは、「1株あたりの利益がどれくらい生み出されているのか」を示す指標です。
企業の収益力や成長性を比較するうえで、欠かせない指標のひとつでもあります。
PERやROEなど他の指標と組み合わせて総合的に判断することが、失敗しない投資のコツです。
ポイント
- EPS(1株当たり純利益)は、企業の収益力や成長性を測る基本指標である
- EPSは純利益を発行済株式数で割って算出し、数値が高いほど1株あたりの利益が大きいことを示す
- EPSはPERやROEなど他の指標と組み合わせて総合的に投資判断することが重要である
- EPSは株式分割や自社株買いなど企業の動きによって変動するため注意が必要である
- EPSだけでなく複数の指標をバランスよく使うことで、納得感のある投資判断が実現しやすくなる
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BPS
BPS「1株あたり純資産」と訳されます。
これは、企業が持つ純資産を発行済株式総数で割った値です。
BPSは、もし企業が解散した場合、1株につきどれだけの資産が株主に分配されるかを表します。
このため「解散価値」と呼ばれることもあります。
BPSが高い企業は、財務的に安定していると判断されやすいです。
ポイント
- BPS(1株当たり純資産)は、企業の純資産を発行済株式数で割った値である
- BPSは企業の財務安定性や解散価値を示す指標として活用される
- 業種や企業の成長段階によってBPSの水準や意味は大きく異なる
- 投資判断ではBPSだけでなくPBRやPER、ROEなど他の指標も併用する必要がある
- BPSの推移や変動要因を定期的に確認し、総合的に企業を評価することが重要となる
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PSR
PSRは企業の時価総額を年間売上高で割って算出し、一般的に0.5倍以下なら割安、20倍以上なら割高とされています。
この指標は新興企業や赤字企業でも評価ができるため、PERやPBRが使えない場面で特に重宝します。
ただし、業種や企業の成長段階によって基準値が大きく異なり、小売業などは低め、ITやテクノロジー企業は高めになる傾向があります。
PSRだけで判断せず、他の指標や同業他社・過去推移と組み合わせて総合的に分析することが、投資判断の精度を高めるポイントです。
ポイント
- PSR(株価売上高倍率)は、企業の時価総額を売上高で割って算出する指標である
- 一般的な目安として、PSRが0.5倍以下なら割安、20倍以上なら割高と判断される
- 業種や企業の成長段階によって基準値が異なり、単純な数値比較は注意が必要である
- 小売業など利益率が低い業種はPSRが低く、ITやテクノロジー企業は高くなる傾向がある
- 他の指標や同業他社・過去推移と比較し、総合的に企業価値を見極めることが重要である
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PCFR
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)は、株価が企業のキャッシュフローに対して何倍の水準かを示す指標となります。
利益ではなくキャッシュフローを基準にするため、会計上の操作や一時的な利益変動の影響を受けにくい点が特徴です。
特に、設備投資が多い企業や減価償却費の影響を強く受ける業種の評価に有効とされています。
ポイント
- PCFR(株価キャッシュフロー倍率)は、株価が企業のキャッシュフローに対して何倍かを示す指標である。
- 一般的な目安は日本株全体で8.1倍(2024年)、過去20年の平均は6~12倍となる。
- 計算式は「株価÷1株あたり営業キャッシュフロー」または「時価総額÷営業キャッシュフロー」である。
- PCFRは業種や市況によって基準が異なり、同業他社や業界平均との比較が重要となる。
- 割安・割高の判断や投資判断には、PERやPBRなど他の指標と組み合わせて活用することが推奨される。
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株式益回り(益利回り)
株式益回りは、企業がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを株価との関係で示すもので、計算式は「1株あたり利益(EPS)÷株価×100」と非常にシンプルです。
PER(株価収益率)の逆数としても使われ、他の資産の利回りや債券利回りと比較しやすいのが特徴となります。
この指標が高い企業は、株価に対して利益水準が高く、割安株として注目されやすいです。
また、日本株の平均株式益回りは5~6%程度が目安とされており、業種によって大きく異なる傾向があります。
ポイント
- 株式益回りは、株価に対する企業の利益水準を示す指標である
- 計算式は「1株あたり利益(EPS)÷株価×100」で、PERの逆数となる
- 日本株の平均株式益回りは5~6%程度で、業種によって大きく異なる
- 割安株のスクリーニングや投資判断には、他の指標(PER、PBR、ROEなど)との併用が重要である
- 一時的な業績変動や業種特性に注意し、複数の観点から総合的に判断することが大切である
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時価総額
時価総額は「株価×発行済株式数」で計算され、企業の市場価値や規模を客観的に示す重要な指標です。
株価だけを見ても企業同士の大きさや市場での評価は分かりませんが、時価総額を使えば一目で比較できるようになります。
また、時価総額が大きい企業は資金調達力やブランド力に優れ、投資家や就職活動中の方にも安心感を与える存在となります。
一方で、時価総額だけで判断せず、成長性や財務内容など他の指標も組み合わせて総合的に分析することが大切です。
ポイント
- 時価総額は「株価×発行済株式数」で算出し、企業の市場価値を示す指標である
- 株価だけでなく時価総額にも注目することで、企業規模や市場での評価を正確に把握できる
- 時価総額が大きい企業は信用力や資金調達力が高く、ブランド力や成長性も評価されやすい
- 企業比較や投資判断では、時価総額だけでなく他の指標も組み合わせて分析することが重要である
- 世界の時価総額ランキングでは米国テクノロジー企業が上位を占め、成長分野にも注目が集まる
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株価指標の使い方と注意点
この章では株価指標の使い方と注意点について解説します。
指標ごとの割安・割高の目安
株式投資でよく使われる「PER」や「PBR」などの株価指標は、銘柄が割安か割高かを判断するための大切なヒントになります。
PER(株価収益率)は、株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを示します。
日本株の場合、PER15倍前後が平均的な目安とされ、15倍以下なら割安、20倍以上なら割高と判断されることが多いです。
ただし、業界や企業の成長性によって基準は異なります。
例えば、成長が期待されるIT企業はPERが高くなりやすい傾向です。
一方、安定した業種ではPERが低めでも普通ということもあります。
PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産の何倍かを表す指標です。
PBRは「1倍」が大きな基準となり、1倍未満なら割安、1倍を超えると割高と見なされます。
たとえば、PBR0.8倍の企業は、解散価値よりも安く買える状態です。
ただし、PBRも業種や企業ごとに適正水準が異なります。
指標はあくまで「目安」であり、単独で判断せず、同業他社と比較することが大切です。
また、赤字企業ではPERが算出できない場合があるため注意しましょう。
複数指標を組み合わせた分析方法
PERやPBRなどの株価指標は、それぞれ特徴があります。
一つの指標だけで判断すると、思わぬ落とし穴にはまることも。
たとえば、PERが低くて割安に見えても、利益が一時的に増えただけのケースも考えられます。
逆に、PBRが1倍未満でも、会社の成長性や収益力が低い場合は投資対象として魅力が薄いことも。
そこで、複数の指標を組み合わせて総合的に判断するのがポイントです。
PERで利益面の割安さを確認し、PBRで資産面の割安さもチェックする。
さらに、ROE(自己資本利益率)も参考にしましょう。
ROEが高い企業は、株主資本を効率的に活用して利益を生み出している証拠です。
たとえば、「PERが15倍以下、PBRが1倍未満、ROEが10%以上」といった条件でスクリーニングすると、割安で収益力の高い企業を探しやすくなります。
また、テクニカル指標(移動平均線やRSIなど)とファンダメンタル指標を併用することで、売買タイミングの精度も高められます。
複数指標を組み合わせることで、より納得感のある投資判断につながります。

初心者向けの株価指標活用ガイド
この章では初心者向けの株価指標活用ガイドについて解説します。
指標を使った銘柄選びのコツ
株式投資を始めたばかりの方が銘柄を選ぶ際、まず注目したいのがPER、PBR、ROEといった基本的な株価指標です。
PERは「株価÷1株あたり純利益」で計算され、同業種内で比較することで割安・割高の目安になります。
例えば、同じ業種の企業AとBでPERが大きく違う場合、なぜその差が生じているのかを調べてみましょう。
PBRは「株価÷1株あたり純資産」で求められ、1倍を下回ると割安とされますが、事業の将来性や資産内容も確認が必要です。
ROEは「自己資本をどれだけ効率的に使って利益を出しているか」を示す指標で、10%以上なら優良とされます。
これらの指標は証券会社のサイトやスクリーニング機能で簡単に確認できます。
数字だけで判断せず、業績やニュースも合わせてチェックすることが大切です。
さらに詳しい解説記事のご案内
各株価指標の詳しい使い方や注意点については、上記でまとめた個別記事でより深く解説しています。
PERの業種ごとの基準や、PBRが低い理由の見極め方、ROEを使った成長企業の探し方など、実例を交えて紹介しています。

まとめ
ポイント
- 株価指標は株の割安さや収益性を判断するための基準となる
- 代表的な指標はPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)である
- これらの指標を使い、同業他社や市場平均と比較することが重要となる
- チャート分析やスクリーニング機能も活用し、総合的に銘柄を選定する
- 初心者は複数の指標を組み合わせて判断し、リスク分散を心がける
今回は株式投資で役立つ株価指標一覧について説明してきました。
株価指標はたくさんありますが、初心者はPER、PBR、ROEの3つから覚えましょう。
まずはこの3つをしっかりと覚えて、余裕ができたら少しずつ他の指標を勉強していけばOKです。
いきなり全部やろうとすると混乱するので、重要度が高い順から勉強しましょう。
自分の投資スタイルで使う指標が変わってくるので、自分に合う株価指標を見つけてどんどんトレードに挑戦してみましょう。

