

この記事は、既存のつみたて投信より条件の良い商品を見つけたときの“同カテゴリ乗り換え(Like for Like)”の判断基準と実務手順をまとめます。
月1万円でも効く判断フロー、NISA特有の注意点(簿価復活・同年再利用NG)、ETF乗換の落とし穴まで網羅します。
前提知識はつみたて投信の選び方と目論見書・運用報告書の読み方をどうぞ。
\まずはNISA口座の準備から/
結論:原則は“受け皿の切替”で十分


- 新規積立の受け皿を新ファンドへ切替(当面“二本持ち”でOK)。
- 既存ファンドは原則ホールド。評価が安定していれば放置で問題なし。
- 売却は実質コスト(TER)差が大きい/指数乖離が恒常的に大きい/方針・指数変更など明確な理由があるときに限定。
👉 全体像は「乗り換え判断フロー」で後述します。
👉 年次点検は“5分チェック”を参照。
NISA特有の注意点:売って乗換の“副作用”


- 同年再利用不可:売却しても当年の年間投資枠は復活しない。
- 翌年以降に簿価復活:復活額は取得価額相当(評価額ではない)。
- 売却→即時買い直しは、市場を外す時間+枠の非効率を招きやすい。
※例:取得10万円→評価12万円で当年に売却しても、その年の枠は戻りません。翌年以降に“10万円(簿価)”分の非課税保有限度額が復活します。
👉 仕組みの詳細は簿価復活のルールと売却と枠の再利用を参照。出口は取り崩しガイドへ。
“受け皿切替”の実務:5分で完了する手順


- 新ファンドの目論見書・運用報告書で、信託報酬・総経費率(TER)・指数・乖離を確認。
- 証券会社の「つみたて設定」で新ファンドを追加し、旧ファンドは金額を段階的にゼロへ(即ゼロでも可)。
- 積立日は給料日翌営業日×毎月に固定(頻度比較はこちら)。
- 半年〜1年で積立比率が自然に新ファンド優位になるのを待つ。
※既存ファンドを売らなければ、当年の非課税枠を無駄にせず、市場から離れる時間もゼロにできます。
乗り換え判断フロー(保存版)


判断ポイント | YESのとき | NOのとき | メモ |
---|---|---|---|
新ファンドは同カテゴリで、コスト最安級&乖離が小さいか | 受け皿切替でOK | 現状維持 | 指数・連動手法も確認(完全/サンプリング)。 |
実質コスト(TER)差が年0.10%以上あるか | 切替の優先度↑ | 切替は急がない | 差が小さいなら無理に売却しない。 |
旧ファンドに方針変更・乖離拡大・純資産悪化があるか | 売却検討 | 保有継続 | 売却はNISA枠・簿価復活も併せて判断。 |
※TER差0.10%は目安。積立額・保有期間・商品の特性で“効き方”は変わります。
\まずはNISA口座の準備から/
ETFの乗り換えは別物:コストの“実費”に注意


- 信託報酬差だけでなく、売買・スプレッド・為替の総コストで比較。
- 受け皿切替(今後の買付変更)に寄せ、既存は原則そのまま。
- 配当再投資が手間なら、ETF→投信へ“受け皿切替”も選択肢。
👉 詳しくは米国ETFの手数料・為替の実務と国内ETF vs 米国ETFを参照。
よくある誤解Q&A
Q1.最安ファンドを見つけたら“全売りして即乗換”が最速?
原則NO。
受け皿切替だけで目標は十分達成できます。
全売りは市場を外す時間とNISA枠の非効率が生じやすいです。
Q2.旧ファンドの積立をゼロにしたら、すぐ解約すべき?
売却必須ではありません。
評価が安定しているならそのまま保有で問題なし。
売却は方針変更・乖離拡大など明確な理由があるときに限定。
Q3.つみたて枠・成長投資枠で毎月分配型はアリ?
いずれの枠でも毎月分配型は対象外です。
再投資で複利を効かせる設計が前提のため、乗換時の候補にも基本含めません。
ポイント(乗り換えの型・結論)
- 受け皿切替が基本。旧ファンドは原則そのまま。
- 売却はTER差が大きい/乖離拡大/方針・指数変更に限定。
- NISAは同年枠が戻らない。翌年以降に簿価で復活する仕組みを理解して判断。
まとめ
ポイント(今日から実行する3手)
- 新規積立の受け皿を切替(旧は当面ホールド)。
- 売却は例外対応。TER差・乖離・方針変更で合理性を確認。
- 年1回の軽点検、問題なければ“何もしない”。


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