

株価指標は、大きく「割安性(価格倍率)」「収益性」「資本効率」「配当・還元」「規模」「応用・比較」に分けられます。
各セクションの見出し下に、初心者向けの30秒早見表と、代表指標へのリンクを用意しました。
※本ページは狭義の「株価指標=価格倍率(PER/PBR/PSR/PCFR/Earnings Yield)」を中核に、判断の土台となる収益性・資本効率・株主還元も索引として並記しています。
価格そのものから導く倍率は①のセクションをご参照ください。
① 割安性(価格倍率)


30秒で要点
- PER=株価÷EPS(1株利益)。利益の何倍で買われているか。解説
- PBR=株価÷BPS(1株純資産)。簿価の何倍か。解説
- PSR=時価総額÷売上。利益がブレる成長企業の補助に。解説
- PCFR=時価総額÷営業CF。キャッシュ創出力で測る。解説
- Earnings Yield=EPS÷株価(=PERの反対数)。金利比較に便利。解説
※PCFR(P/CF)は「株価÷1株当たり営業CF」または「時価総額÷営業CF(TTM)」のいずれかで表記されます。比較時は同じ定義で統一してください。
使い方のコツ
- 赤字期はPERが機能しにくい。売上やCF倍率を補助で。
- PBR「1倍割れ」も理由次第。資産の質と収益性を併読。
② 収益性


30秒で要点
※EPSは「親会社株主に帰属する当期純利益」÷「期中平均株式数」。希薄化後EPSは潜在株式も考慮します。
使い方のコツ
- 一過性の特別損益で純利益が跳ねる場合は、本業に近い営業利益率も確認。
- EPSは希薄化(ストックオプション等)の影響を統一して比較。
③ 資本効率


30秒で要点
使い方のコツ
- ROEはレバレッジで動きやすい。自己資本比率や利払い負担も併読。
- ROICはWACCと比較して価値創造を判断。
④ 配当・還元


※配当利回り・配当性向・総還元性向は、価格から直接導く倍率ではなく利益配分・還元の指標です。
本ページでは価格倍率の補助として位置づけています。
30秒で要点
使い方のコツ
- 一時要因で利益が薄い期は、性向だけで判断しない(分母が歪む)。
⑤ 規模(バリュエーションの土台)


30秒で要点
- 時価総額=株価×発行株式数。市場での企業の大きさ。解説
※時価総額は一般に「株価×発行済株式数(自己株式を除く場合あり)」で算出。インデックスでは浮動株調整後を使うことがあります。
⑥ 応用・比較


※本ページで還元指標を扱うのは、評価の前提を素早く横断できるようにするためです。
厳密なバリュエーション比較は①~③を優先してください。
30秒で要点
- PEG=PER÷成長率。成長でPERを補正。解説
- PER vs PBR|利益倍率と簿価倍率の違い。比較
- ROE vs ROA|株主視点と事業視点。比較
- ROE vs ROIC|レバレッジと投下資本効率。比較
※PEGの成長率は%表記の場合は100で割って小数化。成長率が0%以下の期は指標として機能しません。
勉強の進め方(最短ルート)
- 割安性(PER・PBR)で「価格の物差し」を作る
- 収益性(利益率)で「稼ぐ力」を把握
- 資本効率(ROE/ROA/ROIC)で「資本の回り」を理解
- 配当・還元でキャッシュの戻り方を見る
- 応用(PEG・比較)で判断の精度を上げる
※倍率(PSR/PCFR)はTTM(直近12か月)で算出すると季節要因の影響を抑えられます。
※総還元性向の自社株買いは取得額ベースが一般的ですが、発行・消却のネットで示す場合もあります。比較前に前提を統一してください。
※営業CFや成長率が0以下の期は、PCFRやPEGが解釈不能または極端な値になります。別指標で補助評価してください。
よくある勘違い(3つ)
- 単年の数値だけで結論づける(推移×同業で比較)。
- 定義をそろえずに比較(連結/単体、希薄化、分母の平均などを統一)。
- PER低い=常に割安、PBR1倍割れ=常に好材料と決めつける。
索引の使い方と検索のコツ


検索語の型(そのまま使える)
- 「◯◯ とは」(定義)/「◯◯ 計算式」(式)/「◯◯ 目安」(解釈)
- 比較は 「A B 違い」、運用は 「A 使い方 コツ」
- 英語表記・別名も試す(例:Earnings Yield/P/S ratio/Invested Capital/NOA)
- 最新データは 「TTM」(直近12か月)や「有報」「決算短信」で補完
表記ゆれの早見メモ
- 株式益回り=Earnings Yield(EPS÷株価)
- PSR=P/S ratio、PCFR=P/CF
- 投下資本=Invested Capital、営業投資資本=NOA
- 総還元性向=Shareholder Return Ratio(配当+自社株買い)
7日で押さえる学習プラン(最短ルート)


- Day1:割安性の土台(PER・PBR)。「定義→式→目安」をメモ。
- Day2:成長で補正(PEG)と売上倍率(PSR)。赤字期の読み替えを確認。
- Day3:キャッシュ重視(PCFR・営業CF)。TTMで季節要因をならす。
- Day4:収益性(営業・経常・純利益率/EPS)。一過性の切り分け。
- Day5:資本効率(ROE・ROA・ROIC)。定義をそろえて同業比較。
- Day6:還元とバランス(配当利回り・配当性向・総還元性向)。
- Day7:比較で定着(PER vs PBR/ROE vs ROA/ROE vs ROIC)。用語の表を作って仕上げ。
最後に、この索引へ戻って弱点分野だけを復習すると、理解の穴が最短で埋まります。
まとめ|迷ったらこの索引に戻る
ポイント
- 指標は定義→式→使いどころの順で覚える。
- 比較は時系列×同業、前提(連結/平均/希薄化)を統一。
- 赤字期や一時要因は倍率が歪む。売上・CF・ROICなどで補助評価。


\市場の反応をリアルタイムで追う準備を/