

本記事は、2006〜2024年の歴代首相の辞任(表明)日と翌営業日の株価(終値)の関係を一覧化し、個別ケースの背景、為替・金利・海外投資家の視点まで整理します。
タイムリーなニュースに左右されない“検証可能な比較軸”を作り、次回以降のリライト資産として使える形にします。
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歴代首相の辞任と翌営業日の株価(2006〜2024)


首相 | 辞任(表明)日 | 当日終値 | 翌営業日終値 | 変化率 |
---|---|---|---|---|
小泉純一郎 | 2006/9/20 | 15,718.67 | 15,834.23 | +0.74% |
安倍晋三(第1次) | 2007/9/12 | 15,797.60 | 15,821.19 | +0.15% |
福田康夫 | 2008/9/1 | 12,834.18 | 12,609.47 | -1.75% |
麻生太郎 | 2009/8/30* | 10,534.14 | 10,492.54 | -0.39% |
鳩山由紀夫 | 2010/6/2 | 9,603.24 | 9,914.19 | +3.24% |
菅直人 | 2011/8/26 | 8,797.78 | 8,851.35 | +0.61% |
野田佳彦 | 2012/12/16 | 9,737.56 | 9,828.88 | +0.94% |
安倍晋三(第2次〜4次) | 2020/8/28 | 22,882.65 | 23,139.76 | +1.12% |
菅義偉 | 2021/9/3 | 29,128.11 | 29,659.89 | +1.83% |
岸田文雄 | 2024/8/14 | 36,442.43 | 36,726.64 | +0.78% |
石破茂 | 2025/9/7 | – | – | – |
※スマホなど画面が小さい場合は、表を左右にスクロールしてご覧ください。
※数値はすべてSBI証券の株価履歴に基づく日経平均株価の終値。
各ケースの背景と株価反応


小泉純一郎(2006年)
2006年9月20日、自民党総裁選で安倍晋三氏が新総裁に選出され、小泉首相の退陣が確定。
市場は不透明感よりも「次の安倍政権への期待」を先取りし、日経平均は15,718.67から15,834.23へ前日比0.74%高となりました。
安定的な政権移行への安心感が株価を押し上げた形です。
安倍晋三(第1次・2007年)
2007年9月12日、体調不良による辞任表明。
唐突な発表で一時的に不透明感は強まりましたが、翌日は15,797.60から15,821.19へ前日比0.15%高と小幅上昇。
世界景気の追い風や次の政権への期待が売り圧力を相殺しました。
福田康夫(2008年)
2008年9月1日、突然の辞任表明。
直後にリーマンショックが迫る局面で、市場は全面的にリスク回避に傾いており、日経平均は12,834.18から12,609.47へ前日比1.75%安。
政治要因よりも世界金融危機の影響が強く出ました。
麻生太郎(2009年)
2009年8月30日の衆院選で民主党が歴史的大勝、自民党は大敗。
麻生首相は辞任を表明しました。当日は日曜のため取引なし。
直前の8月28日の終値10,534.14と翌営業日8月31日の終値10,492.54を比べると、前日比0.39%安でした。
中長期的には政権交代による政策期待が意識されましたが、短期的には不透明感と利益確定売りが優勢でした。
鳩山由紀夫(2010年)
2010年6月2日、民主党両院議員総会で辞任を表明。
後継に菅直人氏が選ばれ、円高是正や財政再建への期待が浮上。
日経平均は9,603.24から9,914.19へ前日比3.24%高となり、金融・輸出を含む景気敏感株に幅広く買いが入りました。
菅直人(2011年)
2011年8月26日、辞任表明。震災後の不確実性のなかで野田政権への移行を織り込み、市場は落ち着いた反応。
日経平均は8,797.78から8,851.35へ前日比0.61%高となり、復興関連やディフェンシブ株が支えました。
野田佳彦(2012年)
2012年12月16日、総選挙で民主党が敗北し、野田首相が辞任を表明。
市場は自民党の政権復帰とアベノミクスへの期待を織り込み、日経平均は9,737.56から9,828.88へ前日比0.94%高。
円安進行を背景に自動車や機械など外需株が主導しました。
安倍晋三(第2次〜4次・2020年)
2020年8月28日、持病悪化を理由に辞任を表明。
コロナ禍の中で不透明感が懸念されましたが、金融緩和・景気対策の継続が意識され、日経平均は22,882.65から23,139.76へ前日比1.12%高。
安定的な政策継続への期待が支えとなりました。
菅義偉(2021年)
2021年9月3日、自民党総裁選不出馬を表明=事実上の辞任。
支持率低下からの交代期待で「仕切り直し相場」となり、日経平均は29,128.11から29,659.89へ前日比1.83%高。
デジタル化推進やコロナ対策再設計への期待が買い材料となりました。
岸田文雄(2024年)
2024年8月14日、辞任を正式表明。市場は一時様子見も、翌日は36,442.43から36,726.64へ前日比0.78%高。
成長・分配・規制見直しなど新体制での政策刷新期待が広がり、輸出・金融・内需株にバランスよく資金が流入しました。


数値から見える傾向(統計的な把握)


要するに、辞任=株安の法則はありません。
むしろ「不透明感の解消」「新政策への期待」「為替の方向感」が揃うと翌日は上がりやすい傾向にあります。
一方で、2008年のように世界ショックが強いと、政治よりマクロが優先され下落になりやすいです。
株価以外の市場(為替・金利)もチェック
為替(円高・円安)
緩和的な金融運営や成長投資のシグナル→円安→輸出主力(自動車・電機)が上がりやすいです。
一方、政局混乱・安全資産志向→円高→外需は重く、内需ディフェンシブ優位に。
債券市場(長期金利)
財政規律や増税・歳出改革の読み替えで長期金利が動きます。
金利上昇はバリュエーションの逆風ですが、銀行など金利感応度の高い業種には追い風になり得ます。


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世界の事例との比較
英国の首相交代ではポンドが先に大きく振れ、株価は通貨動向に連動しやすいです。
米国は大統領選のサイクルが明確で、政策期待が先回りして株価に織り込まれます。
日本の特徴は「新体制の政策期待が株価に早く乗る」点で、翌日プラスになりやすい構造が出やすいです。
投資家が取るべき戦略(チェックリスト)
- 翌日の寄り付きで“方向”を確認し、追いかけ過ぎない。
- 新体制の政策キーワード(成長投資・規制改革・賃上げ・減税など)を抽出。
- 為替の方向(円高/円安)に応じて、外需/内需の比重を微調整。
- 長期金利の動きで、グロース/バリューの傾け方を調整。
- テーマ株は“初動後の押し目”で拾い、過熱時の高値掴みを避ける。
- 短期イベントは資金管理を最優先(1回のリスク許容額を固定)。


まとめ
ポイント
- 歴代データでは翌日の株価は“8勝2敗”で上昇優位。
- 株価が下がったのはリーマンショックなど外部ショック時が中心。
- 為替動向はセクター選択、金利動向はグロース/バリュー判断の軸になる。
- 辞任はネガティブニュースではなく「政策期待の転換点」と捉えるべき。
- 新政権の政策を見極め、テーマ株や中長期の資産配分に活かすのが重要。


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参考: