

この記事では、新NISAの売却と枠の再利用(簿価復活)を、初心者でも迷わないように実務目線で解説します。
いつ戻るか・いくら戻るか・戻るまでの過ごし方、乗り換え(スイッチング)の段取り、現金化の順番、そして月1万円の設計までを一気に整えます。
関連:つみたて枠 vs 成長枠の使い分け|生活防衛資金の目安|リバランス完全ガイド
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仕組みの全体像:「翌年以降に簿価分が復活」— ここを勘違いしない


- 戻る額:取得価額(簿価)相当額。含み益・含み損は無関係。
- 戻る時期:売却した年の翌年以降に、生涯投資枠(総額1,800万円/うち成長枠上限1,200万円)の空きとして復活。
- 同年再利用不可:年内は復活しないため、“デイトレ的な回転で枠を空ける”ことはできない。
- 重要な注意:復活分がその年の「年間投資枠」に上乗せされるわけではない。翌年以降、年間投資枠の範囲内で再投資を進める設計が必要。
- 配当・分配金:新NISA口座内は国内税が非課税。海外ETF等は現地源泉が発生(国内では非課税)。
具体例で理解する(テーブルで時系列)
「簿価復活」の動きを、シンプルな例で追ってみましょう。
年 | 出来事 | 金額 | 生涯投資枠の残りの見え方 | メモ |
---|---|---|---|---|
2025年 | 新NISAで投信を購入(簿価10万円) | 10万円 | 生涯枠1,800万→1,790万(仮) | 簿価は取得価額10万円 |
2025年 | 年内に売却(時価12万円) | 12万円で売却 | 枠は年内は戻らない | 売却益は非課税 |
2026年 | 簿価復活 | 簿価10万円分が復活 | 生涯枠1,790万→1,800万(仮) | 翌年以降、年間投資枠の範囲で再投資 |
※“戻るのは簿価”であり時価ではありません、また年内の再利用はできません。
👉 制度の土台は新NISAの基礎、枠の使い分けはつみたて枠 vs 成長枠で復習。
売却の優先順位と実務フロー(現金→特定→NISAが基本)


実務フロー(迷ったらこの順)
- 現金(普通預金・定期の一部):まずここで吸収。生活防衛資金は目安3〜6か月をキープ。
- 特定口座:損益通算・繰越控除の余地があり税務の柔軟性が高い。
- NISA口座:売れば翌年以降に簿価復活するが、年内再利用不可を理解し、必要最小限に。
NISA売却の落とし穴と回避策
- 年内に枠が空かない誤解:売ってもすぐは戻らない、資金計画は翌年以降の再投資前提で。
- “全部乗り換え”のタイミング依存:一括売り→一括買いは価格変動リスクが大、分割ルールを決め段階移行。
- サテライト過多:枠が貴重な人ほどコア(低コストインデックス)優先、配当・テーマは“うすく”。
- (参考)旧NISAを保有中:整理が必要なら旧NISAからの売却優先も検討(税制や移管の可否は各社ガイドで要確認)。
“乗り換え”の判断基準:コスト・乖離・規模でGO/STOPを決める


GOのサイン(乗り換え検討)
- 信託報酬が同カテゴリー最安級へ更新(年率差は長期で効く)。
- トラッキング誤差が小さい(指数連動の精度)。
- 純資産規模が十分&資金流入が継続(スケールメリット)。
STOPのサイン(様子見)
- テーマ特化・極端なボラなど、長期・分散・低コストの軸から外れる。
- 運用年数・実績が乏しいのに、コスト差が微小で優位性が弱い。
段階移行のやり方(NISA内)
- まずは新規積立の受け皿だけ切替。
- 旧ファンドは売却→翌年以降に復活する簿価枠で、新ファンドへ日付分散のスポットで段階移行。
- 大きな入替えは、半年〜1年の時間軸でゆっくり実行。
👉 併読:つみたて枠で買える投信の選び方|ACWI vs FTSE Global All Cap|全世界 vs S&P500
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月1万円・現実的な運用設計(年間スケジュール例付き)


基本の型
- つみたて枠:全世界 or 米国の低コスト投信1本を毎月1万円(給料日翌営業日・自動積立・再投資型・通知オフ)。
- 成長枠:サテライト合計10〜20%上限でETFや高配当・REITを“うすく”。
- ボーナス等:3〜5分割でコアへ上乗せ(ボーナス活用参照)。
年間スケジュール例
- 1月:設定点検(100円で動作確認→すぐ1万円へ、余力があれば+1,000円の階段上げ)。
- 3月・9月:半年点検(家計余力→増額、資産配分ズレ→買い増しで戻す)。
- 6月・12月:臨時収入を日付固定の分割スポットで投入。
- 12月:翌年の簿価復活見込みをメモし、翌年の年間投資枠の中で上乗せ計画を作成。
👉 心理設計は月1万円シミュレーションと配当 vs 再投資も参考に。
よくある誤解Q&A(短く要点だけ)
Q1.売ればすぐ枠が戻って再投資できますか?
いいえ、翌年以降に“簿価”相当額が復活します、同年内の再利用はできません。
Q2.枠が足りないからNISAを優先して売ってもOK?
基本は×、現金→特定→NISAの順を守ると非課税メリットを守れます。
Q3.乗り換えは一気にやった方が早い?
タイミング依存が強くなります、“新規積立の受け皿切替”→段階移行が安全。
まとめ
ポイント
- 売却→枠は“翌年以降”に簿価相当額が復活(同年再利用不可・年間投資枠に上乗せされるわけではない)。
- 崩す順番は「現金→特定→NISA」で非課税メリットを守る。
- 乗り換えは“新規積立の受け皿切替”→日付分散で段階移行が基本。
- 月1万円は「自動つみたて×分割スポット」、簿価復活は翌年以降の上乗せ余地として管理。


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