

信用取引は、投資家に大きな利益機会を提供する一方で、高度なリスク管理が求められる投資手法です。
この記事では、信用新規建余力が0円になる理由とその対処法について、初心者にもわかりやすく解説します。
信用新規建余力とは、新たに信用取引を行うことができる金額の上限を指します。
この余力が0円になると、新規の信用取引ができなくなり、投資機会を逃す可能性があります。
主な原因として、保証金率の低下、評価損の増加、追加保証金(追証)の発生などが挙げられます。
対処法としては、現金の追加入金、保有株式の売却、建玉の決済などの即時対応策があります。
長期的には、適切なリスク管理、定期的なポートフォリオ見直し、ストップロスの活用などが重要です。

信用取引特有のリスクとして、過度なレバレッジ、市場動向の無視、感情的な取引、リスク管理の軽視などの落とし穴があります。
これらを回避するためには、適切な保証金管理や分散投資、ストップロスの活用が効果的です。
初心者の方は、デモ口座で練習を重ね、リスクとメリットを十分に理解した上で、自己の投資目的や資金状況に合わせて慎重に判断することが大切です。

ポイント
- 保証金率の低下により信用新規建余力が減少する
- 評価損の増加が信用新規建余力を押し下げる
- 追加保証金(追証)の発生が取引を制限する
- 現金の追加入金や保有株式の売却が即時対応策となる
- 適切なリスク管理とポートフォリオ見直しが長期的対策である
信用新規建余力が0円になる理由と対処法
信用新規建余力が0円になると、新たな信用取引ができなくなり、投資家にとって大きな問題となります。
この状況の主な原因と対処法について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
保証金率の変動
保証金率の変動は、信用新規建余力が0円になる主要な要因の一つです。
保証金率とは、信用取引で必要な担保の割合のことを指します。
例えば、100万円の株式を信用取引で購入する場合、通常は35%の保証金(35万円)が必要です。
しかし、保有している株式の価値が下がると、実質的な保証金の価値は低下しますが、保証金率自体は上昇します。
具体的には、100万円の株式が80万円まで下落した場合、35万円の保証金に対する比率は35%(35万円÷100万円)から約43.75%(35万円÷80万円)に上昇します。
この状態で新規の信用取引をしようとすると、追加の保証金が必要となり、信用新規建余力が0円になる可能性があります。
評価損の増加
評価損の増加も、信用新規建余力を0円に押し下げる要因となります。
評価損とは、保有している株式の現在価値が購入時よりも下がっている状態を指します。
例えば、100万円で購入した株式が80万円まで下落すると、20万円の評価損が発生します。
この評価損は、証券会社が計算する実質的な保証金から差し引かれるため、信用新規建余力が減少します。
追加保証金の必要性
信用取引では、株価の下落により追加保証金(追証)が必要になることがあります。
これは、保有している株式の価値が一定水準以下に下がった場合に発生します。
例えば、SBI証券の場合、維持率(実質保証金÷必要保証金)が30%を下回ると追証が発生します。
追証が発生すると、追証が発生した場合、通常は翌々営業日までに解消する必要があります。
追証を解消するには、現金を入金するか、建玉(保有している信用取引の持ち高)を減らす必要があります。
これらの対応ができない場合、信用新規建余力は0円となり、新たな取引ができなくなります。
即時対応策と長期的対策
臨時対応策
信用新規建余力が0円になった場合の即時対応策としては、以下のようなものがあります。
ポイント
- 現金の追加入金:最も直接的な解決方法。
- 保有株式の売却:評価益のある株式を売却し、保証金に充当する。
- 建玉の決済:損失を確定させますが、必要保証金を減らすことができる。
長期的対策
長期的な対策としては以下のようなものがあります。
ポイント
- 適切なリスク管理:過度なレバレッジを避け、分散投資を心がける。
- 定期的なポートフォリオ見直し:市場動向に応じて保有銘柄を調整する。
- ストップロスの活用:損失が一定額に達したら自動的に決済する設定を行う。
これらの対策を適切に実施することで、信用新規建余力が0円になるリスクを軽減し、より安定した信用取引を行うことができます。
初心者の方は特に、デモ口座を活用して、リスクなく取引の練習をすることをおすすめします。

信用取引の基本:信用新規建余力とは
この章では信用取引の基本について解説します。
信用取引の仕組み
信用取引は、投資家が証券会社から資金や株式を借りて取引を行う方法です。
この仕組みにより、手元の資金以上の取引が可能となります。
例えば、100万円の資金で300万円分の株式を購入できるため、投資機会を大きく広げることができます。
信用取引には「買建」と「売建」の2種類があります。
買建は証券会社から資金を借りて株式を購入し、売建は証券会社から株式を借りて売却する取引です。
これにより、株価の上昇だけでなく下落局面でも利益を得る機会があります。
ただし、信用取引にはレバレッジ効果があるため、利益が拡大する一方で損失も拡大する可能性があります。
そのため、リスク管理が非常に重要です。
信用新規建余力の定義
信用新規建余力とは、新たに信用取引を行うことができる金額の上限を指します。
これは、投資家が保有する委託保証金や既存の建玉(ポジション)の状況に基づいて計算されるものです。
具体的には、委託保証金から既存の建玉に必要な保証金や評価損を差し引いた後、証券会社が定める一定の計算方法で算出されます。
例えば、SBI証券では予定委託保証金率が31%を超える部分に相当する金額が信用新規建余力となります。
この余力は、市場の変動や取引の結果によってリアルタイムで変化するため、投資家は常に自身の取引可能額を把握しておく必要があります。
委託保証金との関係
委託保証金は、信用取引を行うために証券会社に預ける担保のことです。
これは現金だけでなく、株式などの有価証券でも代用可能です。
信用新規建余力は、この委託保証金を基に計算されます。
一般的に、委託保証金の30%以上が必要とされ、最低でも30万円以上の保証金が必要です。
例えば、100万円の委託保証金がある場合、最大で約333万円(100万円÷30%)の信用取引が可能となります。
ただし、実際の取引可能額は証券会社の規定や市場の状況によって変動します。
信用建余力との違い
信用建余力と信用新規建余力は似た概念ですが、微妙な違いがあります。
信用建余力は、委託保証金から既存の建玉に必要な保証金や評価損を差し引いた残額を指します。
一方、信用新規建余力は、この信用建余力を基に、新規に建てられる取引の上限額を計算したものです。
通常、信用建余力を証券会社が定める係数(例:30%)で割った金額が信用新規建余力となります。
例えば、信用建余力が30万円の場合、信用新規建余力は100万円(30万円÷30%)となります。
ただし、実際の取引では、銘柄ごとの規制や市場の状況によって、この計算通りにならない場合もあるので注意が必要です。

信用新規建余力の計算方法を簡単解説
この章では信用新規建余力の計算方法について解説します。
基本的な計算式
信用新規建余力の基本的な計算式は以下の通りです。
ポイント
信用新規建余力 = (委託保証金 - 必要保証金) ÷ 保証金率
ここで、委託保証金は投資家が証券会社に預けている担保金額、必要保証金は既存の建玉(ポジション)に対して必要な保証金額、保証金率は証券会社が定める比率(通常30%程度)を指します。
この計算式は、投資家が新規に信用取引を行える金額の上限を示します。
例えば、委託保証金が100万円、必要保証金が40万円、保証金率が30%の場合、信用新規建余力は200万円 ((100万円 - 40万円) ÷ 0.3) となります。
実際の計算例
具体的な計算例を見てみましょう。以下の条件で計算してみます。
ポイント
委託保証金:100万円
既存の建玉:50万円(必要保証金15万円)
保証金率:30%
まず、必要保証金を委託保証金から差し引きます:
100万円 - 15万円 = 85万円
次に、この金額を保証金率で割ります:
85万円 ÷ 0.3 ≈ 283万円
したがって、この場合の信用新規建余力は約283万円となります。つまり、投資家は新たに283万円分の信用取引を行うことができます。
証券会社ごとの違い
信用新規建余力の計算方法は証券会社によって若干異なる場合があります。
例えば、SBI証券では「予定委託保証金率」という概念を用いており、この率が31%を超える部分を信用新規建余力としています。
一方、楽天証券では「実質保証金」という概念を使用し、これを保証金率で割って信用新規建余力を算出しています。
また、保証金率も証券会社や取引する銘柄によって異なる場合があります。
一般的には30%ですが、ハイリスクな銘柄では50%以上に設定されることもあります。
自動計算ツールの活用
多くの証券会社は、オンライントレーディングシステムに信用新規建余力の自動計算機能を組み込んでいます。
これらのツールを使用することで、複雑な計算を行わずに現在の信用新規建余力を即座に確認することができるのです。
スマートフォンアプリを提供している証券会社も多く、外出先でも簡単に信用新規建余力を確認でき、投資家は常に自身の取引可能額を把握し、適切な投資判断を行うことができます。
ただし、市場の急激な変動時には表示が遅れる可能性もあるため、余裕を持った取引を心がけることが重要です。

信用取引のリスク管理:追証と不足金を避けるコツ
この章では信用取引のリスク管理について解説します。
追証(追加保証金)とは
追証(おいしょう)とは、信用取引において委託保証金を追加で差し入れなければならない状態を指します。
これは、買い建てまたは売り建てた銘柄の含み損や、担保にしている株の値下がりによって委託保証金率が下がることで発生します。
例えば、100万円の委託保証金で300万円分の株式を信用買いした場合、当初の委託保証金率は33.3%です。
しかし、株価が10%下落すると、評価損30万円が発生し、委託保証金は70万円に減少します。
この時、委託保証金率は約23.3%となり、多くの証券会社が定める最低維持率25%を下回るため、追証が発生します。
追証が発生した場合、通常は翌々営業日までに解消する必要があります。
解消しない場合、強制的に建玉が決済される可能性があるため、迅速な対応が求められます。
不足金の発生メカニズム
不足金は、信用取引において決済時に現金が不足する状態を指します。
これは主に、損失が出ている建玉を返済する際に発生します。
不足金は追証とは異なり、委託保証金率に余裕があっても発生する可能性があるため、常に注意が必要です。
リスク管理の基本戦略
信用取引のリスク管理には、以下の基本戦略が効果的です。
ポイント
- レバレッジを抑える:借入額を抑えることで、損失が拡大するリスクを軽減する。
- 現金の割合を多くする:委託保証金のうち、価格変動の影響を受けにくい現金の割合を増やす。
- 信用二階建て投資を避ける:現物株を担保に信用取引を行う「二階建て」は、リスクが高まるため避ける。
- 逆指値注文の活用:あらかじめ損切りラインを設定し、自動的に決済する逆指値注文を利用する。
- 定期的なポートフォリオ見直し:市場動向に応じて保有銘柄を調整し、リスクを分散させる。
これらの戦略を組み合わせることで、追証や不足金のリスクを軽減できます。
損切りのタイミング
適切な損切りは、信用取引のリスク管理において極めて重要です。
以下のような損切りのタイミングを考慮しましょう。
ポイント
- 損失額や損失率による基準:例えば「投資資金の10%の損失で損切り」といったルールを設定する。
- 株価による基準:「購入価格から5%下落したら損切り」などの具体的な価格を決める。
- 時間による基準:「1週間待っても上昇しなければ損切り」といった期間を設定する。
- トレード根拠の消失:株価上昇の根拠が崩れた時点で損切りする。例えば、移動平均線を株価が下回った場合など。
- 出来高の減少:「出来高がジリ貧になってきたら損切り」といった基準も有効。
損切りの実行には迷いが生じやすいですが、自分で決めたルールは必ず守ることが重要です。
また、逆指値注文を活用することで、感情に左右されず機械的に損切りを行うことができます。
適切な損切り戦略を実践することで、大きな損失を回避し、長期的に安定した投資を続けることが可能になります。

信用新規建余力を回復させる具体的な方法
信用新規建余力が0円になると、新たな信用取引ができなくなり投資機会を逃してしまう可能性があります。
ここでは、信用新規建余力を回復させる具体的な方法を初心者の方にもわかりやすく解説します。
現金の追加入金
最も直接的で効果的な方法は、現金を追加で入金することです。
例えば、100万円の追加入金をすると、信用新規建余力は約333万円増加します。
これは、入金した現金の約3.3倍の取引が可能になるためです。
ただし、追加入金をする際は、自身の財務状況をよく考慮する必要があります。
無理な入金は避け、余裕資金の範囲内で行うことが重要です。
また、入金のタイミングも重要で、市場の動向を見極めてから入金するのが賢明です。
保有株式の売却
保有している現物株式を売却することで、信用新規建余力を回復させることができます。
ただし、注意点があります。
現物株式を売却した当日は、代用有価証券としての評価のまま信用新規建余力が計算されます。
売却代金は、原則として受渡日以降に現金として信用新規建余力に反映されます。
例えば、100万円分の株式を売却した場合、受渡日以降に100万円の現金が追加され、信用新規建余力は約333万円増加します。
ただし、売却する株式の選択には慎重になる必要があります。
長期保有を目的とした優良株を安易に売却することは避けましょう。
建玉の決済
保有している信用建玉を決済することで、信用新規建余力を回復させることができます。
建玉の決済方法には、反対売買による決済と現引・現渡による決済があります。
反対売買による決済の場合、決済と同時に信用新規建余力が回復します。
例えば、100万円の買い建玉を決済すると、その分の必要保証金が解放され、信用新規建余力が回復します。
ただし、損失が出ている建玉を決済する場合は、不足金が発生する可能性があるので注意が必要です。
また、利益が出ている建玉を早めに決済することで、リスクを抑えつつ信用新規建余力を回復させることができます。

初心者が陥りやすい信用取引の落とし穴
信用取引は大きな利益を得る可能性がある一方で、初心者にとっては危険な落とし穴もあります。
ここでは、初心者が特に注意すべき4つの落とし穴について詳しく解説します。
過度なレバレッジ
信用取引の魅力的な特徴の一つがレバレッジですが、これは諸刃の剣です。
レバレッジを使うことで、少ない資金で大きな取引ができる反面、損失も同様に拡大します。
初心者の方は、まず低いレバレッジから始めて、経験を積むにつれて徐々に増やしていくことをお勧めします。
また、1回の取引で総資本の1〜2%以上をリスクにさらさないようにしましょう。
市場動向の無視
信用取引を成功させるためには、市場動向を常に注視することが重要です。
しかし、初心者は往々にして自分の直感や希望的観測に頼りがちです。
例えば、ある銘柄の株価が下落傾向にあるにもかかわらず、「きっと反発するはず」と考えて買い続けてしまうことがあります。
これは非常に危険な行動です。
市場動向を適切に分析するためには、テクニカル分析やファンダメンタル分析の基礎を学ぶことが重要です。
また、経済ニュースや企業の決算情報なども常にチェックしましょう。
感情的な取引
感情に左右されて取引を行うことは、信用取引に限らず投資全般において大きな落とし穴となります。
特に、恐怖と貪欲という2つの感情は、しばしば投資家を非合理的な決断に導きます。
例えば、損失を抱えた銘柄を「もう少し待てば回復するかも」と思って持ち続けたり、逆に利益が出ている銘柄を「もっと上がるかも」と思って売り時を逃したりすることがあります。
感情的な取引を避けるためには、事前に明確な取引計画を立て、それに忠実に従うことが重要です。
また、定期的に休憩を取り、冷静さを保つことも大切です。
リスク管理の軽視
信用取引では、リスク管理が非常に重要です。
しかし、初心者はしばしばこれを軽視してしまいます。
具体的には、適切な損切りラインを設定しない、ポートフォリオの分散を行わない、維持率(証拠金維持率)のチェックを怠るなどの行動が挙げられます。
例えば、ある銘柄に資金を集中投資してしまうと、その銘柄の株価が急落した場合に大きな損失を被る可能性があります。
リスク管理を適切に行うためには、以下のような対策が有効です。
ポイント
- 逆指値注文を活用して損切りラインを設定する
- 複数の銘柄に分散投資を行う
- 定期的に維持率をチェックし、必要に応じて対応する
- 取引ごとに損失の上限を設定し、それを超えたら必ず損切りする
これらの落とし穴を認識し、適切に対処することで、初心者の方も信用取引をより安全に、そして効果的に活用することができるでしょう。

信用取引で成功するための保証金管理術
この章では信用取引で成功するための保証金管理術について解説します。
適切な保証金率の設定
信用取引を成功させるには、適切な保証金率の設定が不可欠です。
2025年現在、多くの証券会社では最低保証金率を30%に設定していますが、初心者の方は安全性を重視して40%以上に設定することをおすすめします。
例えば、100万円の株式を信用取引で購入する場合、40万円の保証金を用意することで、より安全に取引を行えます。
これにより、株価の急激な変動にも耐えられる余裕が生まれます。
また、保証金率は銘柄によっても異なる場合があります。
ハイリスクな銘柄では50%以上に設定されることもあるため、常に最新の情報をチェックしましょう。
定期的なポートフォリオ見直し
信用取引のポートフォリオは、市場の変動に応じて定期的に見直すことが重要です。
これは「リバランス」と呼ばれ、当初の資産配分を維持するために必要な作業です。
具体的には、月に1回程度、保有している建玉の評価損益や、各銘柄の比率を確認します。
例えば、ある銘柄の比率が大きく上昇している場合、一部を売却して他の銘柄に振り分けることで、リスクの分散を図ることができます。
また、2025年の最新の市場動向では、為替市場の急激な変動が見られるため、特に外貨建ての信用取引を行っている場合は、より頻繁な見直しが必要となっています。
分散投資の重要性
信用取引においても、分散投資は非常に重要です。
一つの銘柄や業種に集中投資すると、そのセクターが下落した際に大きな損失を被るリスクがあります。
投資信託を信用取引の担保として活用することで、さらに分散投資の幅を広げることができます。
ストップロスの活用
ストップロスは、損失を一定の範囲内に抑えるための重要な手法です。
2025年現在、多くの証券会社が提供している「逆指値注文」を活用することで、効果的にストップロスを設定できます。
例えば、500円で購入した株式に対して、450円で逆指値の売り注文を設定すると、株価が450円まで下落した時点で自動的に売却されます。
これにより、感情に左右されずに冷静な判断ができ、大きな損失を回避できます。
ストップロスの水準は、個人のリスク許容度によって異なりますが、一般的には購入価格の5~10%の損失が発生した時点で設定することが推奨されています。
ただし、市場の急激な変動時には、設定した価格で約定できない可能性もあるため、余裕を持った設定が重要です。
以上の保証金管理術を実践することで、信用取引のリスクを最小限に抑えつつ、効果的な運用が可能となります。
初心者の方は、まずは小額から始め、徐々に経験を積みながら自分に合った戦略を見つけていくことをおすすめします。

よくある質問:信用新規建余力に関するQ&A
この章ではよくある質問について解説します。
新規建余力と返済余力の違いは?
新規建余力と返済余力は、信用取引において重要な概念ですが、その役割は異なります。
新規建余力は、新たに信用取引のポジションを開くことができる金額を示します。
例えば、100万円の新規建余力があれば、最大で100万円分の新規の信用取引を行えます。
一方、返済余力は既存の信用取引ポジションを決済するために使用できる金額を指します。
返済余力は通常、新規建余力よりも大きくなります。
これは、返済によってリスクが減少するため、証券会社がより柔軟に対応できるからです。
例えば、100万円の新規建余力がある場合、返済余力は150万円程度になることがあります。
信用新規建余力が0円でも取引できる?
信用新規建余力が0円になった場合、新規の信用取引を行うことはできません。
しかし、既存のポジションの返済や現物取引は可能です。
信用新規建余力が0円になる主な理由は以下の2つです。
ポイント
- 予定委託保証金率が31%未満になった場合
- 保証金合計額が30万円未満になった場合
これらの状況を改善するには、現金の追加入金や保有株式の売却、建玉の決済などの対策が必要です。
信用取引の適性とは?
信用取引に適した投資家の特徴は以下の通りです。
ポイント
- リスク管理を徹底できる人:信用取引では損失が拡大するリスクがあるため、厳格なリスク管理が不可欠。
- 少額の投資資金で大きな利益を目指す人:信用取引は自己資金の約3倍まで取引できるため、効率的な資金運用が可能。
- 投資の幅を広げたい人:信用取引では空売りも可能なため、相場の上昇局面だけでなく下落局面でも利益を狙える。
- 短期的な取引を好む人:信用取引は長期保有にはコストがかかるため、短期的な取引に適している。
信用取引のメリット・デメリット
メリット
- 少額の資金で大きな取引が可能:自己資金の約3倍まで取引できる。
- 空売りができる:相場下落時にも利益を狙える。
- 同じ銘柄を1日に何度も売買可能:デイトレードなどの短期売買に適している。
デメリット:
- 損失が大きくなる可能性:レバレッジ効果により、損失も拡大する可能性がある。
- コストが高くなりやすい:金利や貸株料などのコストがかかる。
- 追証(追加保証金)のリスク:相場の急激な変動で追加の資金が必要になることがある。
信用取引は高度な投資手法であり、そのリスクとメリットを十分に理解した上で、自己の投資目的や資金状況に合わせて慎重に判断することが重要です。

まとめ
ポイント
- 保証金率の低下により信用新規建余力が減少する
- 評価損の増加が信用新規建余力を押し下げる
- 追加保証金(追証)の発生が取引を制限する
- 現金の追加入金や保有株式の売却が即時対応策となる
- 適切なリスク管理とポートフォリオ見直しが長期的対策である
信用新規取引について説明してきました。
0になってすぐに追証ではないですが、追証に近い状態であるということは覚えておきましょう。
信用取引はリスクが非常に高いので、ある程度トレードの経験を積んでから挑戦することをおススメします。


参考: