

株式投資で安定した収入を目指す方にとって、「配当利回り」はとても大切な指標です。
配当利回りは、1株あたりの年間配当金を株価で割り、100をかけて計算します。
この数字が高いほど、投資した金額に対して多くの配当金を受け取れることを意味します。

特に近年は低金利が続き、銀行預金や債券の利息がほとんど期待できないため、配当利回り3%以上の高配当株が特に注目されています。
ただし、配当利回りだけで投資先を決めるのは危険です。
業績や配当性向、増配の有無などもあわせて確認することが重要となります。
高配当株には減配や株価下落のリスクもあるため、分散投資や最新情報のチェックが欠かせません。
また、配当金には税金がかかりますが、NISAなどの非課税制度を活用することで効率的な資産運用も可能です。

ポイント
- 配当利回りは「配当金÷株価×100」で算出し、投資効率を示す指標である
- 配当利回り3%以上が高配当株の目安となり、安定収入を重視する投資家に人気である
- 配当利回りだけでなく、業績や配当性向、連続増配など他の指標も確認が必要である
- 高配当株には減配・株価下落リスクもあるため、分散投資や情報収集が重要となる
- 配当金には税金がかかるため、NISAなどの非課税制度や口座選択も活用することが有効である
配当利回りとは|株式投資で知っておきたい基本知識
この章では配当利回りの基礎知識について解説します。
配当利回りの定義と役割
配当利回りは、株式投資で得られる「配当金」と「株価」を比較して、どれくらい効率よく配当を受け取れるかを示す指標です。
計算式は「1株当たりの年間配当金 ÷ 現在の株価 × 100(%)」となります。
たとえば、A社の株価が1,000円で配当金が50円の場合、配当利回りは5%です。
この指標は、投資した金額に対してどれだけの配当収入が見込めるかを一目で把握できる点が特徴です。
特に、安定した収入を求める投資家にとっては重要な判断材料となります。
配当利回りが高い株は、同じ投資額でもより多くの配当金を受け取れるため、人気があります。
ただし、配当利回りが高いからといって必ずしも安心とは限りません。
株価が大きく下がっている場合や、今後配当が減るリスクも考慮が必要です。
配当利回りが注目される理由
近年、低金利環境が続く中で、配当利回りの高い株が注目を集めています。
銀行預金や債券の利息が低いため、株式の配当金による「インカムゲイン」を重視する人が増えています。
また、配当利回りは「投資の採算性」を測るうえで分かりやすい指標です。
たとえば、年間配当利回りが3%の株に100万円投資すると、理論上は毎年3万円の配当収入が期待できます。
さらに、企業が安定して配当を出し続けている場合、経営が健全である証拠とも考えられます。
ただし、配当利回りが急に高くなった場合は、株価下落や業績悪化による「一時的な高さ」の可能性もあるため、注意が必要です。
配当利回りと他の投資指標の違い
配当利回りは「配当金」と「株価」に注目した指標ですが、他にも株式投資で使われる指標があります。
代表的なのが「配当性向」です。
これは企業の利益のうち、どれだけを配当金として支払っているかを示します。
配当性向が高すぎると、無理な配当で企業の財務が悪化するリスクもあるので注意が必要です。
一方、配当利回りは株価の変動にも左右されるため、株価が大きく下がった場合に一時的に高く見えることもあります。
他にも「株価収益率(PER)」や「株価純資産倍率(PBR)」など、企業の収益や資産に注目した指標があります。
配当利回りだけでなく、複数の指標を組み合わせて総合的に判断することが、失敗しない投資のコツです。

▼他の株価指標について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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配当利回りの計算方法と目安
この章では配当利回りの計算方法と目安について解説します。
配当利回りの基本的な計算式
配当利回りは、株式投資で配当金を重視する方にとって重要な指標です。
計算式は「1株あたりの年間配当金 ÷ 株価 × 100」で求めます。
たとえば、株価1,000円のA社で年間配当金が50円なら、配当利回りは5%です。
この計算式を使えば、どの銘柄でも簡単に配当利回りを比較できます。
年間配当金は、中間配当と期末配当の合計額です。
実際の数値を当てはめてみると、投資金額に対してどのくらい配当金がもらえるかが一目でわかります。
配当利回りが高いほど、投資家にとっては配当金の割合が大きくなります。
ただし、株価や配当金額は変動するため、定期的な確認が必要です。
初心者の方は、まずこの計算式を覚えておくと、銘柄選びの際に役立ちます。
予想配当利回りと実績配当利回りの違い
配当利回りには「予想配当利回り」と「実績配当利回り」の2種類があります。
予想配当利回りは、企業が発表している今期の予想配当金をもとに計算します。
一方、実績配当利回りは、すでに支払われた過去1年分の配当金を使って算出。
投資判断では、今後の配当金を予想する「予想配当利回り」がよく使われています。
過去の実績だけでなく、今後の配当見通しもチェックすることが大切です。
企業によっては増配や減配があるため、最新の決算や会社発表を確認しましょう。
予想値はあくまで目安なので、実際の配当が異なる場合もあります。
初心者の方は、証券会社のサイトやアプリで予想配当利回りを簡単に調べられます。
日本株の配当利回りの平均と高配当の目安
日本株全体の配当利回りは、おおむね2~3%が平均的な水準です。
この水準を上回る3%以上の銘柄は「高配当株」と呼ばれ、安定した配当収入を目指す投資家に人気があります。
2025年5月時点でも、配当利回り3%以上の銘柄は多く存在しています。
高配当株の中には、連続増配を続けている企業もあります。
ただし、配当利回りが高いからといって、必ずしも安全とは限りません。
業績悪化や減配リスクもあるため、企業の財務状況や配当方針も確認しましょう。
平均値や目安を知っておくと、銘柄選びの基準が明確になります。
配当利回り3%以上の意味
配当利回り3%以上は、高配当株投資の一つの目安です。
銀行の普通預金金利が超低金利の中、3%を超える配当利回りは非常に魅力的です。
たとえば、配当利回り3%の銘柄に1,000万円投資すると、年間で30万円の配当収入が期待できます。
この水準は、配当金生活を目指す人や安定収入を重視する投資家にとって現実的な目標となります。
一方で、配当利回りが極端に高い場合は、株価下落や減配リスクが潜んでいることもあります。
3%以上を基準に銘柄を選びつつ、企業の業績や配当の持続性も合わせて確認しましょう。
安定した配当を長期で受け取りたい方は、連続増配企業や財務健全な企業を選ぶと安心です。

配当利回りが高い株のメリット・デメリット
この章では配当利回りが高い株のメリット・デメリットについて解説します。
高配当株のメリット
安定したインカムゲイン
高配当株の最大の魅力は、定期的に現金収入が得られる点です。
たとえば、日本株では年1~2回、米国株の場合は四半期ごとに配当金が支払われるケースが多く、生活費や趣味の資金として活用する人も増えています。
インフレが進行する局面では、配当収入が物価上昇の影響を和らげる役割を果たすことも。
また、銀行預金の金利がほとんどつかない現状では、配当利回り3~5%の高配当株は資産運用の選択肢として注目されています。
配当収入があることで、株価が下落しても精神的な安心感につながる場合があります。
長期保有の魅力
高配当株を長期で持ち続けることで、複利効果を活かせます。
配当金を再投資すれば、配当がさらに増える可能性も。
株主還元に積極的な企業は、業績が安定している傾向があり、長期的に安定した資産形成が期待できます。
市場全体が下落した際でも、配当金という収入があることで損失をカバーしやすいという特徴もあります。
長期投資を前提とするなら、配当利回りの高い株は「時間を味方につける」戦略のひとつです。
高配当株のデメリット
減配・無配リスク
高配当株でも、企業の業績が悪化すれば配当金が減る「減配」やゼロになる「無配」となるリスクがあります。
たとえば、日本郵船や日本たばこ産業(JT)は、過去に業績悪化で減配を発表し、投資家の間で話題となりました。
配当が減ると、投資家の失望売りが発生しやすくなります。
その結果、株価が急落するケースも珍しくありません。
配当利回りが高いからといって、将来も同じ水準の配当が続くとは限らない点に注意が必要です。
株価下落リスク
高配当株は、配当金をもらいながら長期保有する戦略が基本ですが、株価が大きく下落する可能性もあります。
たとえば、2020年のコロナショック時には多くの高配当株が急落しました。
配当利回りが高い=割安株とは限りません。
業績悪化で株価が下がり、その結果として配当利回りが一時的に高く見える場合もあります。
配当金を受け取っても、株価下落による損失が大きければトータルでマイナスになることもあります。
このように、高配当株投資には安定収入のメリットがある一方、減配や株価下落などのリスクも理解しておくことが大切です。

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配当利回り投資で失敗しないための注意点
この章では配当利回り投資で失敗しないための注意点について解説します。
配当利回りだけで選ぶリスク
配当利回りが高い株は一見魅力的に見えますが、安易に飛びつくのは危険です。
実際、配当利回りが急上昇している場合、企業の業績悪化や株価下落が背景にあることが多いです。
たとえば、株価が大きく下がると、配当金が据え置きでも利回りだけが高く見えてしまいます。
しかし、業績が悪化していれば、将来的に減配や無配に転じるリスクが高まります。
実際、東証プライム市場の平均配当利回りは2~2.6%程度です。
これを大きく上回る銘柄には、必ず理由が隠れていると考えましょう。
単に配当利回りだけで銘柄を選ぶと、思わぬ損失につながることもあります。
配当性向や業績の確認方法
配当利回り投資では、配当性向や企業の業績をしっかり確認することが重要です。
配当性向は「1株あたり配当額 ÷ 1株あたり純利益(EPS)×100」で求められ、この数値が50%以下であれば、今後も安定した配当が期待できると考えられています。
一方、配当性向が100%を超えている場合は、無理に配当を出している可能性があり、減配リスクが高まる点に注意が必要です。
業績のチェックには有価証券報告書や企業のIRページが役立ちます。
特に、過去数年の売上や利益が右肩上がりかどうか、配当方針が明確かどうかも併せて確認しておくと安心です。
分散投資の重要性
分散投資は、リスクを抑えるための基本的な戦略といえるでしょう。
もし一つの銘柄や業種に資金を集中させてしまうと、その企業や業界が不調に陥った際、資産全体が大きく目減りするリスクが高まります。
そこで、複数の銘柄や異なる業種、さらには国内外の株式などに資金を分けて投資することで、リスクを分散することが可能です。
「卵は一つのカゴに盛るな」という有名な投資の格言も、この考え方を端的に表しています。
さらに、投資信託やETFを利用すれば、初心者でも手軽に分散投資を始められる点も魅力です。
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配当金の税金と手続きについて
配当金には税金がかかります。
日本では、配当金に約20%(所得税+住民税)が源泉徴収されます。
証券口座で「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいれば、自動的に税金が差し引かれ、確定申告は不要です。
ただし、他の所得と合算して申告分離課税や総合課税を選ぶことで、税負担を軽減できる場合もあります。
また、NISA口座を利用すれば、一定額まで配当金が非課税となります。
自分に合った口座や税制を選び、手続きを確認しておきましょう。

配当利回りが高いおすすめ株と選び方
この章では配当利回りが高いおすすめ株と選び方について解説します。
高配当株の選び方のポイント
高配当株を選ぶ際は、配当利回りだけで判断しないことが大切です。
まず、配当利回りが3%以上あるかを目安にしましょう。
ただし、極端に高い利回りは業績悪化や一時的な株価下落が原因のことも多いので注意が必要です。
次に、業績が安定しているかを確認します。
売上や利益が数年にわたり右肩上がりかどうか、会社四季報や決算資料でチェックしましょう。
また、配当金が毎年増えている「連続増配株」もおすすめです。
配当性向が30~50%程度に収まっているかも見逃せません。
高すぎる配当性向は無理な配当を続けている可能性があります。
時価総額が大きく、財務基盤がしっかりした企業を選ぶのもリスク回避につながります。
配当利回りランキングの活用方法
配当利回りランキングは、効率よく投資候補を絞り込むのに役立ちます。
最新のランキングでは、上位50銘柄の配当利回りや連続増配期間、株主優待の有無などもまとめられています。
ランキングを使う際は、利回りだけでなく、業績や配当方針もあわせて確認しましょう。
たとえば、増配傾向が続いているか、減配や無配のリスクがないかをチェックします。
ランキング上位でも、業績が悪化している銘柄は避けるのが安全です。
また、NISA口座を活用すれば配当金が非課税になるため、ランキングで選んだ銘柄をNISAで長期保有する戦略も人気です。
今後の配当利回り投資の展望
日本株市場では、今後も高配当株への注目が続くと見込まれています。
デフレ脱却や金利正常化の流れを背景に、配当を重視した投資戦略が有効とされているのが現状です。
新NISAの普及により、個人投資家が高配当株を長期で保有しやすくなりました。
また、増配や株主還元に積極的な企業は、これからさらに市場で高く評価される傾向が強まるでしょう。
一方で、業績悪化や経済環境の変化による減配リスクも無視できません。
こうしたリスクを抑えるためにも、複数の銘柄に分散投資し、定期的に業績や配当方針を見直す姿勢が求められます。
世界的にも配当戦略は安定したリターンを目指す投資家から支持されており、今後も有力な選択肢となりそうです。

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まとめ
ポイント
- 配当利回りは「配当金÷株価×100」で算出し、投資効率を示す指標である
- 配当利回り3%以上が高配当株の目安となり、安定収入を重視する投資家に人気である
- 配当利回りだけでなく、業績や配当性向、連続増配など他の指標も確認が必要である
- 高配当株には減配・株価下落リスクもあるため、分散投資や情報収集が重要となる
- 配当金には税金がかかるため、NISAなどの非課税制度や口座選択も活用することが有効である
今回は配当利回りについて説明してきました。
配当利回りは重要な指標であり、高配当株投資も有名です。
チャートなどのテクニカル分析が苦手な人や株式投資に時間を割けない人は、配当利回りを軸にトレードする手法もあります。
テクニカルでもファンダメンタルでも配当利回りは使える指標なので、必ず覚えるようにしましょう。


参考:
配当利回りとは?株式投資に必須の知識を初心者にもわかりやすく解説 | はじめよう米国株 | 米国株取引 | 外国株 | 商品・サービス一覧 | マネックス証券