

この記事では、全世界株の代表的な指数であるMSCI ACWIとFTSE Global All Capを初心者向けに比較し、月1万円の積立での実務に落とし込みます。
小型株を含むかどうか、国・地域の分類の違い(例:韓国)、指数の入替やコストを押さえれば、迷いはかなり減ります。
基礎はインデックス編とつみたて投信の選び方も参照してください。
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まずは「2大系統」の設計思想を理解する
両指数とも「世界の株式市場を時価総額加重で幅広く捉える」ことを目的に設計されていますが、カバー範囲と分類ルールが異なります。
観点 | MSCI ACWI 系 | FTSE Global All Cap 系 |
---|---|---|
カバー範囲 | ACWI=大型・中型中心(小型まで含めるのは「ACWI IMI」) | 最初から大型・中型・小型を含む(投資可能時価総額の広範囲をカバー) |
国・地域分類 | 提供元の基準に従う(例:MSCIは韓国=新興国) | 提供元の基準に従う(例:FTSEは韓国=先進国) |
代表的な用途 | シンプルに世界の中・大型を押さえたい/小型は別途のせたい | 最初から広く分散したい(小型も取り込みたい) |
ボラティリティの傾向 | 小型が入らない分、短期の振れが若干マイルドになりやすい場面がある | 小型を含む分、長期でのリターン寄与もあり得るが短期の振れはやや大きめになり得る |
※具体的な採用国や構成銘柄は定期レビューで見直されます。最新の目論見書・指数ファクトシートを確認しましょう。
👉 迷う場合は、まず全世界 vs S&P500の考え方も合わせてチェック。
違いが“効く”ポイント(初心者が押さえるべき3点)
① 小型株の有無(分散の裾野とブレ幅)
FTSE Global All Capは小型株まで含むのが標準、MSCIはACWI(大型・中型)とACWI IMI(大型・中型・小型)で系統が分かれます。
- 小型を含めると、長期では成長機会を広く拾う一方、短期の値動きはやや大きめになり得ます。
- 月1万円の初心者は、ブレが気になる場合はACWI系(大型・中型中心)から入り、慣れたら小型を含む系へ拡張でもOK。
② 国・地域分類の違い(例:韓国)
指数提供者の基準により、同じ国でも「先進国」か「新興国」かの取り扱いが異なるケースがあります。たとえばMSCIは韓国=新興国、FTSEは韓国=先進国として扱います。
- この違いにより、国別ウェイトや通貨エクスポージャーがわずかに変化します。
- いずれも長期では「広く分散する」という本質は同じ。細部に囚われすぎず、“やめない仕組み”を優先しましょう。
③ 指数の入替・浮沈(メンテナンスの違い)
どちらの指数も、定期的に銘柄の入替や見直しを行います。MSCIは四半期・半期レビュー、FTSEも四半期レビューを実施します。
- 実務では、信託報酬やトラッキング誤差の小さいファンドを選び、指数の小さな差は過度に気にしないのが現実解。
- 「指数差よりコスト差」の方が長期では効きやすいことが多い、という視点を持ちましょう。
※補足:FTSEには「All-World(大型・中型中心)」と「Global All Cap(大型〜小型)」があり、小型の有無が大きな違いです。
構成の取り方でも比較 👉 先進国株 vs 全世界株
使い分けガイド(月1万円の実務)
ステップ1:自分の「揺らぎ耐性」を言語化
- 短期の値動きが気になるなら:ACWI(大型・中型中心)系からスタート。
- 分散の裾野を最初から広げたいなら:FTSE Global All Cap系(小型まで含む)を選ぶ。
- どちらでも迷ったら:コスト・運用規模・資金流入で客観評価(同カテゴリ最安級を狙う)。
ステップ2:つみたて設定の型(やめない仕組み)
- 給料日翌営業日×自動積立×再投資型で固定化。
- 動作確認は100円→すぐ1万円へ。
- 見ない仕組み(通知オフ、月1点検)を徹底。
ステップ3:拡張(小型・地域の“のせ方”)
- ACWI系を選んだ場合:慣れてきたら小型株系(ACWI IMI系や小型インデックス)を“うすく”追加で裾野を広げる。
- FTSE Global All Cap系を選んだ場合:既に小型までカバーされているため、リバランスと増額で成長を取りにいく。
比率が崩れたらどう戻す? 👉 リバランス完全ガイド
👉 関連:先進国株 vs 全世界株/商品タイプの比較まとめ
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よくある誤解Q&A(判断をシンプルに)
Q1.どちらが“必ず”有利ですか?
一概に優劣はつけられません。小型を含むか/国分類の違いなどにより、局面ごとの成績差はあり得ますが、長期では「広範分散×低コスト×やめない」が本質です。
Q2.ACWIを選んだら小型は取れませんか?
小型まで取りたい場合は、ACWI IMI系(大型・中型・小型)を採用するファンドを選ぶ、または小型インデックスを薄くのせる方法があります。
Q3.FTSE Global All Capの方がいつもリターンが高い?
小型を含む分、長期で寄与する場面はありますが、常に上回るわけではありません。
コスト・トラッキング誤差・資金流入の安定性も合わせて判断しましょう。
Q4.為替や国別ウェイトの違いは気にすべき?
長期の積立では、過度に気にしすぎるよりも、ヘッジの考え方やリバランスのルールを整える方が実務的です。
月1万円の配分モデル(例)
タイプ | 配分 | ねらい | 運用のコツ |
---|---|---|---|
超シンプル | 全世界1本に100%(ACWI系 or FTSE系) | 迷いゼロで「やめない」を最優先 | 年1回だけ点検。ズレは増額で微調整。 |
小型のせ | ACWI 80%+小型インデックス 20% | 裾野拡張で長期の成長機会を拾う | ボラが上がるため、見ない仕組みを強化。 |
FTSE一撃分散 | FTSE Global All Cap 100% | 最初から大型〜小型まで広範分散 | コスト・資金流入・乖離の小ささで銘柄選定。 |
※配分は一例です。生活防衛資金を分け、積立停止が起きない設計を優先しましょう。
👉 補強:月1万円の増え方シミュレーション/初心者の失敗と回避法
まとめ
ポイント
- ACWI=大型・中型中心/ACWI IMI=大型〜小型、FTSE Global All Cap=最初から大型〜小型が基本の違い。
- 国・地域分類の差でウェイトはわずかに変わる(例:MSCIは韓国=新興国、FTSEは先進国)。ただし本質は「広範分散×低コスト×やめない」。
- 月1万円は、1本に集約→仕組み化→慣れたら小型や地域の“のせ”で拡張。


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