株式市場において、メジャーSQ(Special Quotation)は投資家にとって重要な指標となっています。
メジャーSQとは、3月、6月、9月、12月の第2金曜日に算出される特別清算指数のことで、日経225先物や日経225オプションなどの金融派生商品の最終決済に使用される価格です。
この時期には、決済価格を巡る思惑的な売買が活発化し、株価が大きく変動する傾向があります。
そのため、メジャーSQ前後の相場動向を理解することは、投資家にとって極めて重要です。
本記事では、メジャーSQが株式市場に与える影響や、相場動向の特徴を詳しく解説します。
ポイント
- メジャーSQ日、水曜日は上がりやすい
- 前日は下がりやすい
メジャーSQとは
この章ではメジャーSQの基礎を説明します。
SQ(特別清算指数)の説明
SQ(Special Quotation)とは、株価指数先物取引や株価指数オプション取引の最終決済に使用される特別な清算指数です。
SQは、各限月の取引最終日の翌日(通常は第2金曜日)に算出されます。
メジャーSQの特徴と発生時期
メジャーSQは、株価指数先物とオプション取引の限月が重なる3月、6月、9月、12月の第2金曜日に発生します。
ポイント
- 取引量が通常よりも増加
- 市場のボラティリティが上昇する傾向
- 「SQ週」と呼ばれる週は相場が荒れやすい
株式市場におけるメジャーSQの意義
価格形成への影響
- SQ値を基準とした売買が活発化
- 短期的な相場の強弱感を示すサイン
投資家の行動変化
- 機関投資家によるポジション調整
- デルタヘッジや裁定取引の増加
市場のリセット機能
- 大規模なポジションの清算
- 新たな相場トレンドの形成機会
相場分析の指標
- SQ値と実際の株価との乖離に注目
- 中長期的な相場動向の予測材料
メジャーSQ週の株価動向
この章ではメジャーSQ週の株価動向について説明します。
分析方法
使用したデータの説明(2005年から2024年までの20年間)
「HYPER SBI 2」を用いて、2005年3月から現在までの株価、騰落率を算出。
月別騰落率の計算方法
騰落率の計算方法:
前日比は「前日の終値」と「当日の終値」を用いて算出。
当日比は「当日の始値」と「当日の終値」を用いて算出。
例
騰落率 = {(前日の終値 ÷ 当日の終値)- 1} × 100
- 2004/12/30の終値:11,488.76
- 2005/1/31の終値:11,387.59
騰落率(%) = { ( 11,387.59 ÷ 11,1488.76) - 1 } × 100
= -0.9 %
メジャーSQ週の株価動向
ポイント
- MSQは前日比、当日比ともに上がりやすい
- 前日(木曜日は)両方とも下がりやすい
- 魔の水曜日は両方とも上がりやすい
メジャーSQ当日の市場動向
SQ値算出のメカニズム
SQ値(特別清算指数)は、メジャーSQ日の朝に算出されます。
その特徴は以下のようなものがあります。
- 指数構成銘柄の始値を基に計算される。
- 全銘柄の始値が出そろった時点で決定される。
- 通常の指数算出とは異なり、気配値は使用されない。
この算出方法により、SQ値は当日の株式市場の開始時点での実際の取引価格を反映します。
朝の気配値の特徴と注意点
メジャーSQ日の朝は、通常とは異なる市場動向が見られ、寄り付きでの取引量が大幅に増加します。
例えば、日経平均225銘柄の売買代金が寄り付きで1兆円程度の大商いとなることがあります。
気配値が大きく変動する可能性があり、通常の取引日よりも注意が必要です。
裁定取引やオプション戦略の決済が集中するため、価格の急激な変動が起こりやすくなります。
大口投資家の動きと市場への影響
メジャーSQ日には、大口投資家の行動が市場全体に大きな影響を与えます。
- 裁定取引の決済:「先物売り/現物買い」や「現物売り/先物買い」のポジションが一斉に決済される。
- オプション戦略の清算:大口投資家が組んでいた複雑なオプション戦略のポジションが解消される。
- ヘッジポジションの調整:日経平均の水準によっては、損失回避のための大規模なヘッジ取引が行われる可能性がある。
これらの大口取引が集中することで、株価の大きな変動や一時的な歪みが生じる可能性があります。
投資家は、メジャーSQ当日のこれらの特殊な市場動向を理解し、適切なリスク管理と投資判断を行うことが重要です。
メジャーSQ前の株価動向
メジャーSQ前の株価は、通常よりも大きな変動を示す傾向があります。
この期間中、日経平均株価は一時的に大きく上昇または下落することがあり、特に、SQの前日や前々日に日経平均株価が特定の水準を超えると、株価の上昇ペースが加速する可能性があります。
ボラティリティの上昇傾向
メジャーSQの週は、株価の変動率(ボラティリティ)が上昇する傾向があります。
これは、先物やオプションの取引主体がSQ直前の限られた時間で取引判断を迫られるためです。
日経平均ボラティリティ・インデックス(日経平均VI)も、この期間中に上昇することがあります。
デルタヘッジと裁定取引の影響
デルタヘッジと裁定取引は、メジャーSQ前の株価動向に大きな影響を与えます。
- デルタヘッジ:オプションの売り手が損失を補填するために行う先物取引で、株価の上昇や下落を加速させる要因となる。
- 裁定取引:先物と現物の価格差を利用した取引で、これも株価の変動を増幅させる効果がある。
これらの取引により、株価が一方向に大きく動く可能性が高まります。
「魔の水曜日」現象
「魔の水曜日」は、メジャーSQ前の水曜日を指す言葉です。
この日は特に株価が下落しやすいとされています。
主な特徴は以下の通りです。
- 取引量の増加:投資家がSQ前に最終的なポジション調整を行うため、取引が活発化する。
- 下落傾向:過去のデータでは、水曜日の下落率が他の曜日よりも大きい傾向が見られる。
- 一時的な現象:この現象は通常、ポジション調整に伴う一時的なものとされている。
しかし、最近のデータによると水曜日は上がりやすいことが判明しています。
まとめ
ポイント
- メジャーSQ日、水曜日は上がりやすい
- 前日は下がりやすい
メジャーSQ前は株価が動きやすいのは確かですが、メジャーSQ日当日と、魔の水曜日はどちらとも上昇する傾向があることがわかりました。
メジャーSQを利用したデイトレや短期売買であれば、メジャーSQの前日に仕込んで当日の引けで売ってしまうという戦略も立てることができます。
あくまでアノマリーとデータからの結論なので、すべて上手くいくわけではないですが、判断材料の一つにはなるでしょう。