株の勉強

日経平均サーキットブレーカー発動条件と株価への影響を徹底解説【初心者向け】

サーキットブレーカーって何ですか?
後輩ちゃん
後輩ちゃん
カブヤク
カブヤク
株価や先物価格が急激に変動した際に、取引を一時的に中断する制度のことだよ。

 

サーキットブレーカーは、株価や先物価格が急激に変動した際に取引を一時的に中断する制度です。

この制度は1987年のブラックマンデーをきっかけに米国で導入され、日本でも主に先物市場で採用されています。

現物株式市場には「特別気配制度」や「連続約定気配制度」といった別の仕組みが存在し、市場の安定化を図っています。

 

~ショックが起きたときによく聞きますね。
後輩ちゃん
後輩ちゃん

 

サーキットブレーカーが発動すると、一定の値幅に達した時点で即時に取引が10分間停止され、その後は制限値幅を拡大して取引が再開されます。

リーマンショックやコロナショックなど、過去の大きな経済イベント時にも発動例があり、市場参加者のパニックを抑える役割を果たしてきました。

 

カブヤク
カブヤク
サーキットブレーカーがなかったら市場はもっとパニックに陥る可能性があるから、重要な制度なんだ。

 

ポイント

  • サーキットブレーカーは、株価や先物が急激に変動した際に取引を一時停止する制度である。
  • 制度の目的は、投資家の冷静な判断を促し、市場の混乱やパニックを防ぐことである。
  • 日本では主に先物市場で導入され、現物株式には「特別気配制度」など別の仕組みが採用されている。
  • 発動時は制限値幅に達した際に即時中断され、10分間の取引停止後に制限値幅を拡大して再開する仕組みである。
  • 過去にはリーマンショックやコロナショックなど大きな経済イベント時に発動し、市場安定化に役立っている。

 

サーキットブレーカーの発動条件と日経平均への影響

この章ではサーキットブレーカーの発動条件と日経平均への影響について解説します。

 

サーキットブレーカーとは何か

サーキットブレーカーは、株式や先物などの価格が急激に変動したときに、取引を一時的に停止する制度です。

この制度が導入されたきっかけは、1987年のブラックマンデーと呼ばれる米国株式市場の大暴落です。

当時、株価が1日で20%以上も下落し、市場がパニックに陥りました。

こうした極端な値動きの際には、投資家が冷静な判断を失いやすくなるのです。

サーキットブレーカーは、取引を強制的に中断することで、投資家に冷静さを取り戻す時間を与える役割を果たしています

日本だけでなく、アメリカやヨーロッパ、中国、韓国など多くの国で導入されているのです。

日本の場合、主に先物市場でこの制度が使われています。

現物株式市場では「特別気配制度」や「連続約定気配制度」といった別の仕組みが採用されています。

2020年のコロナショックなど、近年も発動事例があり、ニュースで耳にした方も多いでしょう。

 

▼ブラックマンデーについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

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日経平均での発動条件の詳細

日経平均先物でサーキットブレーカーが発動す条件は、前日の清算値から一定の値幅を超えて価格が変動した場合です。

例えば、日経225先物の場合、制限値幅は四半期ごとに見直される仕組みです。

2020年3月~5月の例では、1,870円の値幅制限が設定されていました。

取引価格がこの制限値幅の上限または下限に達し、呼値や約定があった時点でサーキットブレーカーが即時発動します。

発動すると、対象となる先物取引は10分間取引が中断されます。

その後、制限値幅を拡大して取引が再開

一日に複数回発動する場合、制限値幅は段階的に広がります

また、日中立会や夜間立会の終了時刻から20分前以降に発動条件を満たした場合など、一部例外もあります。

この仕組みにより、急激な価格変動時に市場を安定させる効果が期待されているのです。

 

サーキットブレーカー発動時の市場メカニズム

サーキットブレーカーが発動すると、該当する先物取引は即座に中断されます。

中断時間は原則10分間です。

この間、投資家は新たな注文を出すことができません。

中断後は、制限値幅を拡大したうえで、板寄せ方式で取引が再開されます。

板寄せ方式とは、一定時間に集まった注文を一度にまとめて成立させる方法です。

これにより、再開直後の価格が極端に偏るのを防ぎます。

サーキットブレーカーが複数回発動した場合、制限値幅はさらに拡大されます。

このような仕組みによって、パニック的な売買を抑え、市場の混乱を最小限にとどめることができるのです。

 

現物株と先物での違い

日本市場では、サーキットブレーカーは主に先物取引に適用されます。

現物株式の場合、「サーキットブレーカー」という名称の制度はありません。

ただし、現物株には「特別気配制度」や「連続約定気配制度」が導入されています。

特別気配制度では、株価が急変した際に一時的に注文受付のみとなり、取引が成立しない時間が設けられます

連続約定気配制度は、板寄せ方式で取引を成立させることで、急激な値動きを抑える仕組みです。

先物取引の場合は、値幅制限とサーキットブレーカーによる取引中断が直接的に適用されます。

このように、現物株と先物では市場安定化のための制度設計が異なります。

どちらも投資家のパニックを防ぎ、市場の健全な運営を目指している点は共通しているのです。

 

サーキットブレーカーが起こらないことを祈るのみですね。
後輩ちゃん
後輩ちゃん

 

サーキットブレーカー発動時に株はどうなる?

この章ではサーキットブレーカー発動時に株はどうなるかについて解説します。

 

発動時の株式市場の動き

サーキットブレーカーが発動すると、まず株価指数先物やTOPIX先物などの取引が自動的に一時中断されます。

2025年4月7日には、日経平均先物が急落し、前営業日比で約6%下落した時点でサーキットブレーカーが作動しました。

この時、取引所は10分間の売買停止措置を取りました。

取引停止中は新たな売買注文の成立ができません。

市場参加者はこの間に情報を整理し、冷静な判断をする時間が与えられます。

現物株の取引は続く場合もありますが、先物の急落に引きずられ、多くの銘柄で売り注文が殺到し、値幅制限(ストップ安)に到達するケースも増えます。

サーキットブレーカー発動時は、特に寄り付き直後や大きな経済ニュース発表後に発生しやすいです。

取引再開後も一時的に売りが優勢となることが多く、値動きが荒くなる傾向があります。

 

投資家心理と売買行動の変化

サーキットブレーカー発動時は、市場全体に強い不安やパニックが広がります。

多くの投資家が「これ以上下がる前に売りたい」と考え、売り注文が加速。

一方で、取引停止中は新たな注文が成立しないため、短期トレーダーは身動きが取れなくなります。

売りたいのに売れない、買いたいのに買えない状況が発生し、再開を待つ間にさらに不安が高まることもあります。

再開後は、損失を最小限に抑えようとする売りが再び集中しやすく、短期的には値下がりが続くことも少なくありません。

一方、長期投資家や冷静な参加者は、こうした混乱時に「割安」と判断して買いを入れる動きも見られます。

このように、サーキットブレーカー発動は投資家心理に大きな影響を与え、売買行動を大きく変化させます。

 

発動後の値動きパターン

サーキットブレーカーが発動した後の値動きにはいくつかの典型的なパターンがあります。

まず、取引再開直後は再び売りが集中し、もう一段の下落となるケースが多いです。

その後、急落が一巡すると、一部の投資家が「押し目買い」を狙って買い注文を入れるため、一時的に値を戻す場面も出てきます。

ただし、相場全体の不安が解消されない場合は、戻りも限定的で、再び下落基調に転じることも珍しくありません。

2024年8月や2025年4月の事例では、サーキットブレーカー発動後も下落が続き、最終的には日経平均で10%以上の下げ幅となったこともありました。

また、複数回のサーキットブレーカー発動が連続することで、値動きがさらに荒くなる場合もあります。

このように、発動後は短期間で大きな値動きが発生しやすく、投資判断には一層の注意が必要です。

 

カブヤク
カブヤク
一度冷静になってから取引を開始しないと、さらに痛い目にあうことになるよ。

 

日経平均でサーキットブレーカーが発動した過去事例

この章では日経平均でサーキットブレーカーが発動した過去事例について解説します。

 

主な発動事例の紹介

日経平均先物でサーキットブレーカーが発動するのは、世界的な金融ショックや大きな経済イベントが発生したときが多いです。

たとえば、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2016年の英国EU離脱国民投票、2020年のコロナショック、そして直近では2025年4月7日の世界的な貿易戦争懸念による急落などが挙げられます。

最近では、2024年8月や2025年4月にも発動し、市場の混乱を一時的に抑える役割を果たしました。

サーキットブレーカーの発動は、現物株ではなく主に先物取引が対象です。

過去の発動事例を見ると、ほとんどが世界的なリスクイベントや突発的な経済ショックと連動しています。

 

リーマンショック時の発動

2008年9月、アメリカの大手証券会社リーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界中の金融市場が大混乱に陥りました。

日本市場でも10月10日や16日など、複数回にわたって日経平均先物でサーキットブレーカーが発動しています。

たとえば10月10日は、取引開始直後から売りが殺到し、先物価格が急落。

発動後は10分間の取引中断が行われ、その後も値動きは荒いままでした。

この時期、日経平均の下落幅は1,281円にも達し、下落率は15.5%と非常に大きなものでした。

リーマンショック時は、金融システム不安や企業倒産の連鎖が背景にあり、サーキットブレーカーの役割が特に注目されました。

 

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コロナショック時の発動

2020年3月、新型コロナウイルスの世界的流行が金融市場に大きな衝撃を与えました。

日本市場では東証マザーズ指数先物や日経平均VI先物などでサーキットブレーカーが複数回発動しています。

この時期は米国市場でもS&P500先物でサーキットブレーカーが発動し、世界同時株安の様相を呈しました。

日本では3月9日、13日、18日と立て続けに発動例があり、いずれも大幅な売り注文が殺到。

投資家がパニックに陥る中、サーキットブレーカーが市場の安定化に一定の効果をもたらしました。

コロナショック時の発動は、グローバルな金融危機と日本市場の連動性を強く印象づけるものでした。

 

▼コロナショックについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

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発動後の市場の動きと影響

サーキットブレーカー発動後、市場の動きはケースによって異なります

たとえば、2025年4月7日の急落時は、日経平均先物が一時8.8%下落し、取引が10分間中断されました。

再開後は一時的に下げ止まる場面も見られましたが、下落基調自体はしばらく続きました。

リーマンショックやコロナショック時も、発動直後は売り一巡後に反発することがある一方で、根本的な不安が解消されない限り、再び下落に転じるケースが多いです。

発動によってパニック売りが一時的に抑制され、投資家が冷静になる時間が確保されます。

しかし、根本的なリスク要因が大きい場合は、再開後も荒い値動きが続くことも珍しくありません。

投資初心者は、サーキットブレーカー発動時には慌てて売買せず、状況を見極める冷静さが大切です。

 

大きなショックの時に発動しやすいんですね。
後輩ちゃん
後輩ちゃん

 

サーキットブレーカー発動時の投資家の対応策

この章ではサーキットブレーカー発動時の投資家の対応策について解説します。

 

発動時に取るべき行動

サーキットブレーカーが発動すると、株や先物の取引が一時的に止まります

この間は売買ができないため、焦って注文を出すことはできません。

まずは、なぜサーキットブレーカーが発動したのか、その背景を冷静に確認しましょう。

ニュースや公式発表、マーケット情報サイトで原因や今後の見通しを調べることが大切です。

短期トレーダーの場合、事前にストップロス注文を入れておくことで、急落時の損失を限定できます。

長期投資家は、短期間の値動きに一喜一憂せず、慌てて売却しないことが重要です。

取引再開後も、すぐに売買せず、板情報や市場の流れを見てから判断しましょう。

この「一時停止」は、パニック売りを防ぐための冷却期間です。

まずは深呼吸し、感情的な行動を避けることが最優先です。

 

リスク管理と資産防衛のポイント

サーキットブレーカー発動時に備えて、普段からリスク管理を徹底しておくことが大切です。

まず、資産を一つの銘柄や業種に偏らせず、株・債券・現金・不動産など複数に分散投資しましょう。

市場急変時には、現金や安全資産の比率を高めておくと、精神的にも余裕が持てます。

また、オプション取引やヘッジファンドを活用することで、下落時の損失を限定する方法もあります。

短期的な急落に備えて、損切りライン(ストップロス)を事前に設定しておくのも有効です。

さらに、借入金やレバレッジ取引は控えめにし、余裕資金で運用することがリスク低減につながります。

市場が止まっている間は、ポートフォリオ全体を見直し、必要に応じてリバランスを検討しましょう。

冷静に状況を分析し、慌てて売買しないことが、資産を守る最大のポイントです。

 

冷静な判断を保つためのヒント

市場が大きく動くときほど、感情に流されやすくなります。

まず、自分の投資目的やリスク許容度を再確認しましょう。

事前に作った投資計画やルールを見直し、「なぜこの判断をするのか?」と自問することが大切です。

チェックリストを用意し、売買の理由が「恐怖」や「不安」だけでないか確認します。

また、SNSや速報ニュースに振り回されず、信頼できる情報源だけをチェックすることも有効です。

投資日記をつけて、自分の行動や感情を書き出すと、冷静さを保ちやすくなります。

自動積立やリバランス機能を活用することで、感情に左右されずに投資を継続できます。

歴史的にも、暴落後に市場が回復した例は多くあります。

「短期の値動きより長期の成長を重視する」という視点を持つことで、落ち着いて判断できるようになります。

 

カブヤク
カブヤク
恐怖や不安でパニック売りが加速するから、自分はそうならないような冷静さが必要なんだ。

 

まとめ

ポイント

  • サーキットブレーカーは、株価や先物が急激に変動した際に取引を一時停止する制度である。
  • 制度の目的は、投資家の冷静な判断を促し、市場の混乱やパニックを防ぐことである。
  • 日本では主に先物市場で導入され、現物株式には「特別気配制度」など別の仕組みが採用されている。
  • 発動時は制限値幅に達した際に即時中断され、10分間の取引停止後に制限値幅を拡大して再開する仕組みである。
  • 過去にはリーマンショックやコロナショックなど大きな経済イベント時に発動し、市場安定化に役立っている。

 

今回はサーキットブレーカーについて説明してきました。

株価を決めるのは投資家です。

投資家が売りたいと思ったら下落しますし、買いたいと思ったら上昇します。

パニックになったときは「売りたい」気持ちの方が上回るので急落し、それに伴って他の投資家たちも売りに走ります。

サーキットブレーカーがあることによって一度頭を冷やす時間ができるので、この時間でどのような戦略でいくのか一度確認しておきましょう。

 

サーキットブレーカーが起こらないことを祈るのみです…。
後輩ちゃん
後輩ちゃん
カブヤク
カブヤク
こればっかりは誰もわからないから、起きてしまったらどうするかを対策しておいた方がいいよ。

 

参考:

-株の勉強